性機能

ED(Erectile Dysfunction)診療ガイドライン 2018 まとめ (総論)

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こんにちは

Z供タロです

男性の元気に限らず、夫婦生活や恋人との関係を良好に保つためにもSEXは大切だと思います

男性にその気があるのにSEXができなければ、それらも良好に保てない・・・
もちろん挿入がすべてではないですが コミュニケーションの手段が一つ足りないよりは、EDを改善できるといいですよね

私のたちあげるクリニックでも一番に扱おうと思っているのでED(Erectile Dysfunction 勃起障害/勃起不全)の日本のガイドラインをまとめてみます

EDの定義

挿入できる硬さまで勃起できない、または挿入できる硬さを保てない

SEXの間ずっと硬くならないだけではなく、途中で元気がなくなる(中折れ)こともEDには含まれます
中折れしちゃう人も病院にEDとして受診していいってことですね

EDの分類

器質性・心因性・混合性の3種類に分類

器質性(organic)

身体、臓器に原因があるってことです

今後もうすこし詳しく説明しますが、勃起のメカニズムは
①五感で性的興奮をした時に、脳神経が陰茎の血管に勃起しましょう、と電気刺激を送る
②陰茎(さお)のなかの血管が拡張して陰茎内に大量の血液がたまる
③陰茎が硬くなる

ってことなので、上記の①(神経)に障害がある時、②(血管)に障害があるときにはEDになります

心因性(psychogenic)

身体にはなんら原因がなくても、男性は自分も含めて傷つきやすい生き物なので。。緊張や失敗体験を引きずることなどで勃起しにくくなるアレですね

混合性(mixed)

上記二つが原因に混ざっていること 実際の臨床ではこれが多いから、治療の時は器質性主体なのか、心因性主体なのか見極めながら行う必要があります

EDの有病率と発生率

有病率(revalence)

パッと集団を調べた時にどのくらいEDの人がいたかってことで、加齢とともに頻度はあがっていく
とってもざっくりいうと
30代で5% 40代で10% 50代で20% 60代で30% 70代で70% 多いと感じるか少ないと感じるかはいかがでしょう ブラジル・イタリア・マレーシアで20%なのに、日本人は34.5%と極めて高いってデータもあるみたいです

発生率(incidence)

ある期間ある集団を観察してたら、その中でどのくらいの人が新しくEDになったかってことで、こちらも加齢とともにあがります
ざっくりざっくりいうと 1年間に0.4~6.6%のひとがEDになるとのこと(海外のデータ) まあこちらはふーんってくらいでいいでしょう

EDのリスクファクター

12の因子があります

加齢

なんとなく想像がつきます

糖尿病

糖尿病患者さんはかかりつけの医師から聞いているかもしれません。超尿病患者さんの35-90%にEDが発生します。発生時期も10-15年早くなります。
逆に、英国の調査で男性糖尿病患者さんの12-30%はEDが最初の症状だったそうです。ED患者さんが受診した時には糖尿病の有無を調べたほうがいいとのこと
糖尿病にかかると、神経障害、血管障害が生じます。上述したとおり勃起のメカニズムには神経と血管が関わりますから、EDになるのもうなずけますね

肥満と運動不足

BMI(Body Mass Index)って、医学的な減量のまとめなんかでよく見るかもしれませんが、体重を身長で調整した肥満の評価項目ですね 18.5以上・25未満が正常で、高ければ高いほど肥満ということです
アメリカの研究では14年ある集団をフォローした時に、BMIが増加した集団の方がEDになる率が高かったというデータがあります 運動をしっかりするとEDのリスクが減ることも示されました
ただ、日本人を対象にした肥満や運動不足とEDの関連を調べた大きな研究はなさそうです・・・
それでも上記糖尿病の件もありますし、太らない・運動するにこしたことはない気がします

心血管疾患および高血圧

高血圧患者ではEDの頻度が高く、また重症化しやすい
逆にED患者を調べると高血圧が見つかることも多い
上記の報告が多数なされています
原因としては血圧の恒常性と勃起機能の維持に不可欠なバランスが崩れることと、高血圧によって狭心症や腎不全などが発生し、その影響でEDが発症することが考えられています
狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患があると、EDが非常に多く発生することが分かっています EDになった時には冠動脈疾患がないかを検査したほうがよいと考えられはじめました

喫煙

各国の調査で喫煙がEDの原因になることを指摘されています
喫煙の期間・本数とEDのやりやすさにも関係があるとのことです
より長く、多く吸えばEDになりやすくなるので、まずは禁煙を考えるのはEDの予防の観点から良いと思います
喫煙者の陰茎の組織を調べたら、勃起に重要な海綿体という血液のたまる部分の筋肉が減って肉芽組織に置き換わっていることが見つかっています

テストステロン低下

テストステロンとは男性ホルモンのことです
自分のクリニックでも今後治療したいと思っていますが、最近は男性更年期障害という言葉も一般化してきました。年齢とともに男性ホルモンが減少して、さまざまな症状を呈することです
テストステロンとEDの関連性を明確に指摘できる研究はあまりないのですが、テストステロン低下を認めるEDの方にはテストステロン補充がED改善に効果を認めました
前立腺癌が増えてきていますね 転移のある進行性前立腺癌の治療のひとつに、男性ホルモンを出ないようにする方法がありますので、EDのフォローも必要になります

慢性腎臓病と下部尿路症状

腎臓は左右の背中に2個あり、主には身体に不要な水と食事から栄養を吸い取った後の残りカスを尿にして排泄する役割があります
血圧などに関わる大事なホルモンをだすことも知られています
慢性腎臓病とはその腎臓の機能が下がっていることです
もともといろいろな機能がある腎臓の調子が悪くなると、さまざまな症状が出るのですが、EDの原因になることも知られています
原因としては血流障害・神経障害・ホルモン異常などなどが指摘されています
下部尿路障害って難しい言葉ですね 平たくいうと、排尿の悩みのことです
自分の専門です
男性は年齢とともに排尿の悩みがでてきます
具体的には、残尿感・日中回数が増える・尿が途中でとまっちゃう・我慢できずに漏れそうになる・勢いが弱くなる・いきまないとでない・トイレに行くために起きてしまうetc
心当たりはありますか??
治療すれば勃起が回復する可能性があります 心当たりがあればすぐ泌尿器科を受診しましょう 治療方法はそのうちまとめます

神経疾患

神経は 勃起のための大事な役割を担っています その神経の機能が下がる病気になるとEDになるのはイメージしやすいです
多発性硬化症・脳卒中・てんかん・パーキンソン病などなど
病気自体だけではなく、その治療薬もEDの原因になることがあります。てんかんの薬や抗うつ薬などが指摘されています

外傷および手術

外傷が原因でEDになることがあります 特に脊髄損傷があると発症のリスクが高いです やはり神経のダメージが影響するのがわかりますね
たまにみかける、自転車のサドルがEDに影響するかもこの中で言及されていましたが、意見は分かれており、まだ影響すると断定はできていません
影響するとしたらその原因は、陰部神経・陰部動脈のサドルによる圧迫が考えられています

心理的および精神疾患的要素

ストレスが多い、またはうつ症状があるとEDのリスクが高い
なんとなくイメージできます

薬剤

降圧薬・抗うつ薬・前立腺肥大症治療薬・髄腔内バクロフェン療法・非ステロイド性抗炎症薬
上記薬剤でEDとの関連性が指摘されています
細かくなるので今回は詳細は触れませんが、上記薬剤を使用している方でEDに悩んでいる場合は、一度主治医に相談するといいかもしれません
でも、高血圧・うつ病・前立腺肥大に伴う排尿の悩みは上で触れたとおりそれ自体にEDのリスクがありますから、内服をやめるってのもどうかと・・・
主治医と相談して種類の変更などを考えるといいかもしれません

睡眠時無呼吸症候群

聞いたことある方も多いのでは?
ざっくり言うと、寝ている時に空気の通り道の喉が塞がって呼吸が止まってしまう状態になり、熟眠できなくなることです
ほんとは原因もいろいろあるのですがほかのHPに詳しいので省きます
治療するとEDが改善する報告があるので、日中眠気が強いなどの症状があってEDの悩みがある方は、一度耳鼻科で検査・治療を受けるといいですね

長らくお疲れ様でした
EDの総論はここまでです

今後各論、治療法などは別にまとめていきます

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